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画像と形状のモーメント

作成者: 上田悦子, 最終変更者: 怡土順一, 最終変更リビジョン: 313, 最終変更日時: 2007-10-03 01:10:35 +0900 (水, 03 10月 2007)

■ 画像と形状のモーメント

画像や形状の特徴を定量的に表現する方法の一つにモーメントがある.画像の(x_order+y_order)次の空間モーメントは次のように定義される.

Mx_order,y_order=sumx,y(I(x,y)•xx_order•yy_order)

ここで,I(x,y)は座標(x, y) の輝度値であり,x_order, y_orderはそれぞれx方向,y方向の次数を示している.
2値画像の場合,0次モーメントM0,0が面積を表し,( M1,0/M0,0, M0,1/M0,0 )が重心座標を表す事になる.

サンプル


画像のモーメント

画像の各種モーメント値を計算する

サンプルコード

#include <stdio.h> #include <cv.h> #include <highgui.h> int main (int argc, char **argv) { char text[10][30]; int i; double spatial_moment, central_moment, norm_c_moment; IplImage *src_img = 0; CvFont font; CvSize text_size; CvMoments moments; CvHuMoments hu_moments; // (1)画像を読み込む.3チャンネル画像の場合はCOIがセットされていなければならない if (argc >= 2) src_img = cvLoadImage (argv[1], CV_LOAD_IMAGE_ANYDEPTH | CV_LOAD_IMAGE_ANYCOLOR); if (src_img == 0) return -1; if (src_img->nChannels == 3 && cvGetImageCOI (src_img) == 0) cvSetImageCOI (src_img, 1); // (2)入力画像の3次までの画像モーメントを計算する cvMoments (src_img, &moments, 0); cvSetImageCOI (src_img, 0); // (3)モーメントやHuモーメント不変量を,得られたCvMoments構造体の値を使って計算する. spatial_moment = cvGetSpatialMoment (&moments, 0, 0); central_moment = cvGetCentralMoment (&moments, 0, 0); norm_c_moment = cvGetNormalizedCentralMoment (&moments, 0, 0); cvGetHuMoments (&moments, &hu_moments); // (4)得られたモーメントやHuモーメント不変量を文字として画像に描画 cvInitFont (&font, CV_FONT_HERSHEY_SIMPLEX, 1.0, 1.0, 0, 2, 8); snprintf (text[0], 30, "spatial=%.3f", spatial_moment); snprintf (text[1], 30, "central=%.3f", central_moment); snprintf (text[2], 30, "norm=%.3f", spatial_moment); snprintf (text[3], 30, "hu1=%f", hu_moments.hu1); snprintf (text[4], 30, "hu2=%f", hu_moments.hu2); snprintf (text[5], 30, "hu3=%f", hu_moments.hu3); snprintf (text[6], 30, "hu4=%f", hu_moments.hu4); snprintf (text[7], 30, "hu5=%f", hu_moments.hu5); snprintf (text[8], 30, "hu6=%f", hu_moments.hu6); snprintf (text[9], 30, "hu7=%f", hu_moments.hu7); cvGetTextSize (text[0], &font, &text_size, 0); for (i = 0; i < 10; i++) cvPutText (src_img, text[i], cvPoint (10, (text_size.height + 3) * (i + 1)), &font, cvScalarAll (0)); // (5)入力画像とモーメント計算結果を表示,キーが押されたときに終了 cvNamedWindow ("Image", CV_WINDOW_AUTOSIZE); cvShowImage ("Image", src_img); cvWaitKey (0); cvDestroyWindow ("Image"); cvReleaseImage (&src_img); return 0; }

// (1)画像を読み込む.3チャンネル画像の場合はCOIがセットされていなければならない
コマンド引数で指定されたファイル名の画像(入力画像)をオープンし,関数 cvLoadImage()で読み込む.もしも,指定された画像が3チャンネル画像であれば,COIがセットされていなければ,モーメントの計算が出来ないためチェックした上,一番最初のチャンネルを指定しておく.

// (2)入力画像の3次までの画像モーメントを計算する
画像の3次までの空間モーメントと中心モーメントを関数cvMoments()で計算する.
CvMoments構造体は,以下のように定義されており

typedef struct CvMoments
{
    double  m00, m10, m01, m20, m11, m02, m30, m21, m12, m03; /* spatial moments */
    double  mu20, mu11, mu02, mu30, mu21, mu12, mu03; /* central moments */
    double  inv_sqrt_m00; /* m00 != 0 ? 1/sqrt(m00) : 0 */
}
CvMoments;
サンプル例の場合であれば,例えば直接,moments.m00 として0次モーメントの計算結果を取得する事もできる.
結果表示のため,COIの設定を解除しておく.

// (3)モーメントやHuモーメント不変量を得られたCvMoments構造体の値を使って計算する.
上のように直接構造体の内容にアクセスしても計算結果は取得できるが,OpenCVには関数cvGetSpatialMoment(), cvGetCentralMoment(), cvGetNormalizedCentralMoment()などで,必要な空間モーメントや中心モーメント,正規化された中心モーメント等を取得する事が出来る.サンプル例ではすべての0次モーメント値の取得を指定した.
またHuモーメント不変量も計算する.7つのHuモーメント不変量のそれぞれの意味は,リファレンスを参照の事.

// (4)得られた各種モーメント値やHuモーメント不変量を文字として画像に描画
ウィンドウを生成し,求めたモーメント値を表示するために,関数cvPutText()を用いて,値をテキストとして画像に上書きし,何かキーが押されるまで待つ.

実行結果例


OpenCV-1.0 リファレンス マニュアル
OpenCV-1.1pre リファレンス マニュアル
OpenCVサンプルコード


画素値の直接操作
部分画像のシャッフル
画像の連結
画像のコピー
画像形状の変形
タイリング
画像の反転
逆行列(擬似逆行列)の計算
色空間の写像
離散フーリエ変換
階層構造を持つ輪郭の座標取得
図形の描画
ポリゴンの描画
凸ポリゴンの描画
テキストの描画
IplImage構造体情報の保存
マップのシーケンスを保存
IplImage構造体情報の読み込み
マップのシーケンスを読み込む
K-means法によるクラスタリング
クラスタリングによる減色処理
エッジの検出
コーナーの検出
並進移動のためのピクセルサンプリング
回転移動のためのピクセルサンプリング
画像のサイズ変更
画像のアフィン変換(1)
画像のアフィン変換(2)
画像の透視投影変換
全方位画像の透視投影変換
モルフォロジー変換
平滑化
ユーザ定義フィルタ
境界線の作成
画像の二値化
画像の二値化(大津の手法)
画像ピラミッドの作成
画像ピラミッドを用いた画像の領域分割
平均値シフト法による画像のセグメント化
Watershedアルゴリズムによる画像の領域分割
輪郭の検出と描画
画像のモーメントを計算
ハフ変換による直線検出
ハフ変換による円検出
距離変換とその可視化
不要オブジェクトの除去
ヒストグラムの描画
ヒストグラム間の距離
二次元のヒストグラム
バックプロジェクションパッチ
ヒストグラムの均一化
テンプレートマッチング
形状のマッチング
点列を包含する矩形
輪郭領域の面積と輪郭の長さ
二つの矩形を包含する矩形
楕円のフィッティング
点列を包含する図形
動的背景更新による物体検出
snakeによる輪郭追跡(静止画)
オプティカルフロー1
オプティカルフロー2
オプティカルフロー3
Condensation
顔の検出
カメラキャリブレーション
歪み補正
マップを利用した歪み補正
サポートベクターマシン
画像の各ピクセル値を特徴ベクトルとしたSVMの学習
画像の各ピクセル値を特徴ベクトルとしたSVMによる物体検出
マウスイベントの取得
トラックバーの利用
カメラからの画像キャプチャ
動画としてファイルへ書き出す
ラベリング